1. ホーム
  2. 祈りについて
  3. 体の感覚

体の各部の感覚を感じ取る(1)

今まで、呼吸を活かす祈りの方法を幾つか説明してきました。

これから、しばらく「呼吸」を離れて、体を活かした冥想(祈り)の別の方法を説明します。

今までの流れからすると、ヴィパッサナ冥想()を取り上げるのが相応しいでしょう。
ヴィパッサナ冥想では、体の各部を「感覚する」ことに徹します。
具体的には、以下のような仕方となります。

体の各部分の感覚をひとつひとつ受け止めます。

すでに説明した体の構え方の場合に、目立っている感覚の例を挙げてみましょう。
「お尻がクッション(台)に触れている感覚」「両手が膝の上に乗せられて手の甲と膝とが触れ合っている感覚」「手のひらが温かい感覚」「両肩に服が触れている感覚」「背中に服が触れている感覚」などが、目だって感じられるでしょう。
これらは代表的なものですが、その他自分の体について、すべての個々の感覚を、くまなく感じ取って行きます。
この冥想法を、ヴィパッサナ冥想と言います。

この冥想では、思考や思いに走ることなく頭をカラ(空白)にして、体の各部の感じ取りだけを続けます。

ひとつの部位について、5秒を超えないくらいで、感じ取りをし、それを、体のすべての部分について行ってゆきます。
体の表面感覚を余すところ無く感じ取れることを目指します。

上部から始めます。
…頭の天辺…額…目…鼻…頬…唇…顎…耳…後頭部…首…右肩…右腕…右手…指…左肩…左腕…左手…指…喉…胸…腹…背中…腰…右腿…右膝…右脛…右足…爪先…左腿…左膝…左脛…左足…爪先などというように辿ります。

以上の感じ取りに努める間、頭の中では何も考えません。
頭の中に雑念が湧いて来ると、それと気付くや、ただちに感覚に戻ります。

「注意深く、忍耐強く、平静に」努めて、初めは、15分くらいから挑戦しましょう。
そして、徐々に、20分~30分と伸ばし、できれば1時間を単位にしましょう。
(なお、上の方から順に辿ることで、足の爪先まで済んだら今度は逆方向に昇って行くようにし、往復の動きを繰り返しましょう)

人によっては、体の部位の感覚があまりにも薄くて感じ取れないところが多いと、言う方もあります。
そのような方も、どうか諦めないで自分にとってよく感じられる部位の感覚を感じることを繰り返しながら、だんだん他のうっすらとした感覚にも集中して行きましょう。
そうすることで、日数とともに自分の体の感じ取りの範囲が拡大して行きます。
どうか「注意深く、忍耐強く、平静に」続けてください。

この冥想法によって、心が鎮まり、今現在に意識を集中することが出来、そして本来あるべき自分を取り戻すこととなる喜びを感じることが出来るでしょう。

:ヴィパッサナ冥想

ヴィパッサナ冥想(ヴィパッサナとは「ものごとをありのまま見る」の意味)は、その起源が直接にシャカに由来します。
シャカの方法が、ミャンマーの地の仏教寺院で伝承されていましたが、前世紀の後半にインド人S.N.ゴエンカ氏が、一般社会にも普及させる活動を開始したことで、世に知られるようになりました。
デメロ師も、この冥想法を重視しました。
ヴィパッサナ協会の本部は、インド、ムンバイの北東100キロほどの所のイガップリにあります。
また、 日本ヴィパッサナ協会は、京都府船井郡と千葉県長生郡睦沢町に修行所を営んでいます。