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体の各部の感覚を感じ取る(2)

ヴィパッサナ冥想を、いま一息深めましょう。

体の部分について、できるだけ細かく感じ取ることを目指して行きます。

頭の天辺については、前の方-中間-後ろの方と、いうように感じ分けましょう。
額についても、右半分と左半分。
鼻については鼻の先端と鼻全体。
腕については、上腕部の上半分と、ひじ側の半分を感じ分けましょう。
手のひらを感じたら手の甲も、指の1本1本も、別個に感じ取りましょう。

細部を感じ分けられることは、集中の力が増したことと、感覚が鋭敏になったことの証拠です。

そして、各感覚に名前を付けてみましょう。
それを、次のような心構えで行ってください。
つまり、意識の90パーセントは、引き続き感覚の感じ取りに打ち込みます。
そうしながら、残りの10パーセントの意識を名前付けに向けます。
その程度の意識の向け方で、ひとつひとつの感覚に簡潔に「ひんやり」「むずむず」「あったか」「痛み」「うずき」などと命名するのです。

通常人間は、刺激を受けると意識がそれに反応し過ぎます。
“反応し過ぎる”という程度どころか、それを超えてしばしば“とりこ”になってしまいます。
このように「刺激に反応し過ぎたり」「とりこになったり」しては、自分のバランスを失います。
感じの良い調和的な自分がくずれ、“乱れた自分”、”偏った自分”、”不調な自分”、”奇妙な自分”などという状態に堕ちてしまいます。

このヴィパッサナを積み重ねることによって、刺激への同一化から来る「反応し過ぎ」や「とりこになる」傾向から抜け出ることができます。
自分自身において、良いまとまりを乱されることなく、日々の務めを果たしやすくなります。
また、自分の言動が、目指す目標にたがわず直結できる度合いを増します。
このことは、とりもなおさずミスの減少とか能率の良さとかの獲得を意味します。

さらにヴィパッサナの積み重ねは、暮らしの中で「いのち」に関する新鮮な驚きや感動が、得やすくなります。
宇宙的・自然的なすべての命とつながり合って生きていることを喜びながら生活の質も高めていただける「行(ぎょう)」が、このヴィパッサナなのです。