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聖ベネディクトの祈り

聖ベネディクト(注)は、聖書を用いる三段構成ながら簡潔な祈り方を大切にしていました。
弟子たちが祈りの仕方について尋ねると、「祈りは、簡潔で純粋なのが良い」と言いながら、その祈り方を以下のように手ほどきしていました。

  • 第一の段階はレクチオ、読書です。 聖書から好きな箇所を取り上げます。
    その箇所を読んで心引かれるところを選びます。
  • 第二段階はメディタチオ、黙想です。 それは知性で考えるのではなく、唇を動かして心で味わいます。
    例えば、「生きる水の川」・・・「生きる水の川」・・・唇で繰り返しながら心で味わいます。        
  • 第三段階はオラチオ、観想の祈りです。 味わった言葉をもっと深く味わうため、神様の前で話します。
    例えば、「私の日常生活の中で、生きる水の川はどう生かされるでしょうか」。

満足したとき、この祈りを終えます。
気が散ったときは止めて、新しく聖書の別の箇所を選んで行います。
具体的にやってみましょう。

ここでは、ヨハネ7章37-39を取り上げます。
まずは、その箇所を読みます。

読んだ後、どんなところが自分の心に響くか見ます。
「渇いた人は私のもとに来て飲むがよい」が生き生きと心に響くとします。
それなら、これを繰り返し繰り返し味わいます。
「渇いている人…」「渇いている人…」「私のもとに来て…」「私のもとに来て…」。
繰り返すうちに喜びを感じます。

「私のもとに来て飲みなさい」「私のもとに来て飲みなさい」「渇いている人は…飲みなさい」「渇いている人は…飲みなさい」。
繰り返しながら私が渇いていることを感じます。
心で味わいながら感じることは、「私は渇いていますから、あなたのもとに行きます」という気持です。

「渇いている人」「渇いている人」「渇いている人」私は渇いていると感じます。
この黙想は唇と心を合わせます。
ですからやりやすいのです。
「渇いている」「渇いている」「渇いている」私だけてはなく多くの人が渇いていると感じます。
「渇いている」「渇いている」心で味わいながら続けます。
だんだん声は小さくなります。

第三段階に入ります。最初は静けさを感じます。
神様は私が渇いていることを見つめておられます。
私はそれを意識します。神様は私を大切にされます。
愛しておられます。
私は神様の前にいます。
私は話しかけます。
「私は渇いています。私の心はあなたに開いております。私はあなたをもっと知りたいのです。この渇きをどうすればよいのでしょうか」
神様の答えを待ちます。

「渇くことはいいことだ、満足しないことはいいことだ」私は安心します。
うれしいことです。神様から沢山いただくことができます。
ありがとうございます。
神様が私の中に入ってこられます。
私の中に永遠の命があります。
満足しますと、この祈りを終ります。  ふだん、この祈りをするときは、聖書の自分の好きな箇所を取り上げて下さい。

聖ベネディクトは6世紀の聖人で、ローマ近郊の村で生れました。
17才の時から山あいの洞穴で、若者と共に祈っていました。
彼の祈りは6世紀から12世紀によく使われ、教会の祈りはこの祈りから発展しました。
「ベネディクト会」と呼ばれる修道生活共同体の創始者です。